米国株のオプションを短期投資でメインに毎月のキャッシュ収入を目的に運用しています。
米国株を運用されていた方は、2020年3月の、新型コロナパンデミックによる世界の株式市場の大暴落でかなり冷や冷やしたのではないでしょうか?
この記事では、それらのめったに起きない株式市場の大暴落に対するリスクヘッジとしてPut オプションの利用方法について説明します。
Putオプションって何?という方のために初歩的な内容もまとめますが、御存知の方は、そのセクションをスキップして頂ければと思います。
なお、記事中の計算は、満期時の物であり、実際満期の前に処分する場合は、利益額は減ってきます。
大暴落への備え
投資を始めたのが1990年頃からでしたので、新型コロナによる大暴落の前に、バブルの崩壊、ITバブルの崩壊と、リーマンショックの3つを経験してきました。
よって、バブルの崩壊にも強い運用というのを常に考えるようになりました。
10年前までは暴落耐性のあるヘッジファンドにも投資し、リーマンショックの時はそのファンドは利益を+30%と大きく出しましたが、今ヘッジファンドは勝てなくなっています。
よってヘッジファンドでは、大暴落のリスクをヘッジできません。
大体バブルや大暴落は、7~10年に一回来るので、私は、数年前から米株市場に対しては警戒感が強く、暴落の兆候が出たら、「全降り」とか「指数ショート」をしてははずれ、資産を逆に削っていました。
最近は、考慮の結果、ポジションをそれほどおとさず、Putオプションを毎月~数カ月に一度定期的かつ機械的に購入して大暴落への備えをするようにしています。
新型コロナのような大暴落が来るとは想像さえしてませんから、日ごろの未知に対する備えが必要と考えました。
よって、暴落してもその分利益も入り相殺効果があるため、割と安心して投資が続けられる精神安定性があります。まるで保険のようです。
Putオプションって何?
簡単にいえば、相場や株式が暴落した時に、利益の出る金融商品です。
PUT(売る),オプション(権利)と考えて頂けれは良いです。
米株でいえば、指数に関する物も、個別株に関する物もPutオプションがほとんど定義されており、活発に売買されております。
私の場合は暴落対策は、株価指数のPutオプションの購入をしております。
Putオプションは暴落すれば、するほど利益が出ます。その損益カーブは以下の図となります。
この例について詳しく説明します。
2020/11/25現在、ダウ指数は、ちょうど30000$付近ですが、これはダウに連動する、DISというETFで、価格は丁度ダウの1/100の今300$位です。
ほぼダウの動きに連動しています。
一か月で権利が消滅する、2020/12/24の300$で売る権利(Put Option)の値段が6.59$でした。Optionの取引単位(lot)は、100倍するので、支払う費用は6.59 x 100 = 659$です。
300$以上の場合、つまり320$や350$にDISの価格がダウの価格に比例して変動した場合、DISを300$で売ってしまったら、概算の計算ですが、300-320=-20$x100=2000$損をするので、売る権利を行使する人はいません。
よって、300$以上に価格がなった場合、その権利は消滅して、支払った659$(約7万円)も何も残りません。
ところが、280$に下落した場合は、その時点で300$で売る権利を持っている訳ですから、300-280$=20x100=2000$の利益になります。
グラフの一番左の180$は、新型コロナでのほぼ底値です。
計算すると、300-180=120x100=12000$、つまり約130万円の利益となります。
つまり7万円の保険代を払ったら、130万円の利益(保険金)となります。
倍率は130/7=約18倍です。
なお、このPut Optionは保険としては割高です。「そこまで下がらないだろう」という価格帯のOptionは安く買えます。
例えば、同じ12/24の満期で、240$で売る権利(240$ Put Option)の価格は、0.2$です。つまり0.2x100=20$の支払いです。
同じように、180$まで暴落したら、240-180 = 60x100 = 6000$です。
つまり6000/20=300倍です。
「20$位なら払っていもいいかな」と思えませんか。
失敗談: 実際私は、新型コロナの前に、確か0.1$単位のPut Optionを多めに買ってました。ところが数割値段が高くなったところで、嬉しくなって売ってしまったのです!
チャートを見る限り、ここ10年の経験で「ここが底だろう」と勝手に思って...
その後、株価は、3月末にかけてどんどん暴落しているので、そのまま保有していたら、約190倍の価格になってました。
Put Optionを買うことができる証券会社
日本の証券会社では、米株のオプションは残念ながら扱ってません。
日本語対応も電話でしてくれる証券会社としては、
1)IB証券
2)サクソバンク証券
があります。2)は円建てで売買で為替手数料が大きめです。但し、日本の証券税制で損益通算など出来るのがメリットです。私は取引回数も多いので、1)を主に利用しています。
日本語対応なくていい場合は、
3) Fistrade証券
があります。ここは、売買の手数料が何とタダです。スマホで寝転がりながら気楽にトレードできるところが気に入ってます。
2),3)の場合は、総合課税の雑所得扱いになります。よって、サラリー収入とオプションの利益によってかかる税金も変わってきますので、損得や取引回数を考えると、どれがいいかは、個人によります。
1)から3)までは全て利用しているため、比較した記事は今後作りたいと思います。
日本の証券会社でも扱って欲しいですね。ユーザ対応の良い、マネックス証券にでも要望しましょう!(笑)
Putオプションを使った保険の具体的掛け方
具体的な保険としてのPutオプションの買い方について説明します。
いくら払うか?
まずは、いくら払うか? について検討してみましょう。主に以下のアプローチがあります。
1)払っても良いと思う額
2)計算によるカバー率から
1)は、「自分がこの位だったら毎月払ってもいい額かな」というものです。さきほどの20$程度でもいいですし、運用資産が大きく毎月ある程度利益も出せそうなら、「その利益の1/10でXX$までいいだろう」でもいいです。
また、私の場合は、毎月必ず保険を効かせてますが、もしも「それはちょっともったいないな...保険に入りたい時だけにして節約したい」も有りです。
株価が大きく上がってきて、「何となく今暴落するといやだな」という月だけにしてもいいです。
Put Optionは毎週単位で準備されているので結構選び放題です。
以下は、Firstradeの例ですが、赤枠の箇所が選択できる満期で、月日と共に週レベルのものが規定されていきます。
種類や流動性による使い勝手は、日本のオプション市場より数十~数百倍ある個人的印象です。
次に計算によって求めるとしたら、以下が考え方のサンプル例です。
例えば、600万円米株に投資していて、暴落により400万円までさがって、その損失200万円を取り戻したい。
すると、暴落のレベルによりますが、先ほどの大暴落の例では、1lotの利益が300倍でした。
200万円/300=6666円。
約60$とすると、先ほどの0.2$のPut Optionを買うとすると、
60/(0.2x100) = 3なので、3 lot買えばいいことになります。
「60$ももったいない」ということであれば、保険を200万円でなく、100万円までもどる事でいいことにして、半額の30$にする。ちょっと割り切れませんが、1~2lot買えばいいことになります。
このような考え方で、リスクヘッジして取り戻したい額(保険額)とPut Optionを買う額(保険金)を自分なりに決めていけばいいと思います。
実際の保険の選び方
実際にPut Optionを保険として選ぶ場合の考え方を補足します。
1)いくらまで暴落するか
2)いくらのPut Optionを買うか
については、先ほどの例をもとに、自分で選択する必要があります。
「今後、180まで暴落することはまずなく、220までだろう」
「Put Optionの価格は、260にしたい」
などと自問自答する必要があります。その時重要なことは、現状の指数の価格より差が広くほど、Option価格が安くなることです。
差が大きい物を選ぶのは、Far Out of The Money, Far OTMなどとも言われます。そして安いOption価格なら、なるべく現在の指数と価格差が小さい方が利益が出やすいです。
例えば、上の例では、同じ0.59$の価格ですが、260$のPutを買った方が得です。
250$まで指数が下落したら、260-250=10*100=1000$利益ですが、255-250=5*100$の利益にしかならないので、です。
選ぶ指数
そして、指数を選ぶ時には、どれを使うか? 以下の3指数に対応するETFの名称を示します。
- ダウ指数 DIS
- SP500 SPY
- NASDAQ QQQ
暴落する時は、どの指数も大体一緒に下げます。ところがオプション価格は微妙に、売り買いのニーズが変わるため、割安なものを選ぶといいです。
例えば、「自分は、0.2$のPut Optionを買いたい。その中で今の指数よりも距離が一番近い物はどれか」と考えると良いです。つまり下落までの距離が短く、利益が出やすいことを示します。
DIA,SPY,QQQのオプションテーブルを例として示します。
ぴったり0.2$になりませんでしたが、試算します。
DIAの距離比率 240/299.99 = 0.800
SPYの距離比率 270/362.96 = 0.744
QQQの距離比率 215/295.29 = 0.728
これで見る限りは、今回の一か月満期のPut Optionについては、DIA(ダウ)が一番距離が近くお買い得となります。
このオプションテーブルはリアルタイムで変わっていくために、即追っかけて計算する必要があります。
選ぶ満期
一か月毎にPut オプションを買って継続をする事を説明しましたが、実は、二カ月満期や三カ月満期のPut Optionの方が割安な事があります。
つまり、一か月で、0.2$だったけど、三カ月では、0.5$で、0.2x3=0.6$より安いなど。
その場合は、期間の長いPut Optionを選んだ方が割安で楽です。ただし、デメリットとして、株価指数が上がり続けると、距離はどんどんと遠くなっていきます。
Put Optionの処分の仕方
さきほど、私のPut Optionを安易に利確してしまった失敗例を説明をしましたが、では暴落が始まったら、どう処分(売却)していくか?
チャートを見て、「ここが底だろう」は私のやった失敗です。
レバレッジを150倍と想定したのなら、その150倍の価格に近づいたら、指値をして待ちましょう。
あるいはどうしても利益も欲しければ、例えば、100倍と200倍の二つに分けて指値をする、というのも有りです。
間違えても、数倍位で利確しないように...保険の意味をなさなくなりますし、利益が少ないので。
この大暴落は、7~10年に一回位くるイベントですので、このPut Optionの売買でそもそも、時々儲けようと考えないでください。
大きなリスクに備える保険とお考えください。その保険の安心料で、より安心してトレードができます。
まとめ
Put Optionを利用した、株式市場の大暴落に対する対応を説明してきました。
では、少しの暴落はどうするか => 同じように考えられますが、そのかわり距離が近いので保険料が高くなっていきます。
ここでは、文字数の都合でご紹介できませんでしたが、私は、その「保険代」を払うのももったいないと思い、そのお金を欲しい株のPUT OPTIONの売りで手に入れて、そのお金で保険をかけています。
つまりほぼタダで保険を掛けていることになります。(以下記事ご参照)
https://netbase.xyz/ipo/1693/
また、株価の大暴落以外にも、急激な円高があった場合に、自分のドル資産やビジネス取引もドルなのでインパクトがあります。そのために為替ETFを使いオプションで保険をかける方法もあります。
これらについては、また別記事でご紹介していきます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。なお、投資判断は自己責任でお願いいたします。
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