米株オプションに興味がある人向けの初歩的な基本的な事項と、最初に取り組む取引として、PUT売りについて説明します。
実際のトレードでは必要なさそうな図などは省略して実践的な内容でまとめています。
まずは、基本事項として、以下を覚えてください。
1)オプションが時間ととにも価格が下がる性質がある事
2)売買に関する数値はすべて100倍する
そして、最初のオプション売買は、PUT売りから入るといいと思います。
以下の説明は、分かりやすくしたいという、私の偏見や解釈もかなり入っていることをまずお断りしておきます。
オプションの性質
すべての投資商品の中で、価格がある方向に確実に向かうのは、オプションだけだと思います。
オプションというのは、ある期限の買う権利(Call)や売る権利(Put)を売買するものです。
わかりやすくさらに知りたい方は以下のサイトをご覧ください。
https://www.shiruporuto.jp/public/data/encyclopedia/deriv/deriv301.html
それでは、オプションの価格を構成する物の一つの時間的価値はどうなるか? 以下の図をじっくり見て、特性を頭に叩き込んでください。
120日前、つまり、オプションのCall(買う権利),PUT(売る権利)は期限を持ってますので、例えば、120日後に買う権利のCallを持っているとすれば、時間が立つとともに時間的価値、つまり価格が下がってきます。
つまり、株価が変動しないという条件ですが、必ず下がるのです。
では、ここで、最も急激に下がっているところはどこでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・
残りが30日を切ったあとからですね。
そうです。そして実際は、米株オプションは、30日以内の1週間、2週間、3週間とか期限が細かく設定されてますが、この1週間というのが大体もっともきつくさげていきます。
そして、その期限(満期)の最終日の最後の2時間でも下げていきます。
では、もし確実に価格があがる商品があれば、あなたはどうしますか?
=> 買いますよね。
その逆に確実に理論的にも価格が下がる商品があれば、あなたはどうしますか?
=> 売りですよね。
でも実際、金融商品を売りから入る、俗にいうShortなどをやってない人は少しイメージがわかないかもしれません。
これは実際の販売でもやってます。
例えば、レア物販売をする時にサイトで予約販売をして申し込むと商品はすぐには届きませんよね。これは売り手から見ると、先に売って、そのあと、安く仕入れて、その差額で儲けているんです。
例えば、「グレンダイザー××超合金モデル」とか。(古い)
売買単位はすべて100倍してドル円レートをかけて価格感を持つ
そして、オプションに関する価格表を見ると、
46$の行使価格とか、0.23$の取引値とか見えてきます。
これらの取引は、実際はすべて100倍してください。円なら、約1$=104円(2020/12/6)なので、ざくっと100倍しましょう。
すると動かすお金や入るお金のボリュームがわかります。
実際のデータを見てみよう!
それでは、実際のデータを見てみましょう。
米株オプションができる証券会社の口座を持ってない方もいるとおもいますので、米国のYahoo Financeを使います。
Twitter(ティッカーシンボル TWTR)をサンプルとして見てみましょう。
https://finance.yahoo.com/quote/TWTR?p=TWTR&.tsrc=fin-srch
まず、チャートは、6M(6ヵ月)をクリックして、トレンドを軽く見てみましょう。
何となく上昇トレンドで買ってもいいかな感が少しありますね。
株価は、左上の47.73$です。
そして右側の「Options」をクリックして、Optionの価格を確認していきます。
こんな表(Calでfor December 11と書いてある)が出てきます。これは、12/11期限の物です。
下の方にスクロールしていくと、現在の株価47$付近の 価格表が見れます。
ここで、下から最初の赤線の47$行使価格のCall Optionの価格を見ると、1.43,1.34,1.44とありますね。最初の1.43は最近約定された価格、1.34は、買いたい人の要求値、1.44は売りたい人の要求値です。
現時点(12/6)で考えると、12/11まであと5営業日あります。
もし、12/11に株価が同じ47.73だと、47$で買う事ができるオプションの価値はいくらでしょうか?
47で買ったら、47.73で売って、0.73$儲かりますね、確実に。そうなので、その価値は0.73$です。これを本質的価値ともいいます。
でも一週間前の価格は、1.43$で、
1.43-0.73=0.7$余分ですね。
これを時間的価値と一般的には読んでます。ただ、私は理解上は、時間的期待的価値、と呼んだ方がしっくりきます。
この0.7$がなぜ高いかというと、1)時間がある分だけ、株価が変化して、このオプションが儲かる可能性がある、2)それては別に、このオプションや株価に期待している、という理由です。
1)は時間的価値ですが、2)は期待的価値で、それは銘柄毎に値が異なるのです。
46$のレンジを見ると、同様に株価は47.73$なら、
差額47.73=46 = 1.73$が本質的価値。
実際は、2.12$なので時間的価値が0.39$余分です。
45$の箇所は、同様に
差額47.73-45=2.73$が本質的価値。
実際は、2.94$なので時間的価値は、0.21$余分です。
行使価格 | 本質的価値 | 時間的価値 |
47$ | 0.73 | 0.7 |
46$ | 1.73 | 0.39 |
45$ | 2.73 | 0.21 |
さて、この表を見て、時間的価値について気が付いた事はありませんか?
株価が遠くなる、つまり47.73$より離れていくとも、時間的価値が小さくなるのです。これはオプションの一般的な特性なので覚えておいて欲しい内容です。
これはなぜでしょうか?
...........
株価から離れれば、離れるほど、その価格付近まで近づいく期待が少なくなるからだと思います。この場合は、買い手でなく、売り手が、「ここまで下がる事がないだろう」と考えて、あまり、売りをしかけてこない。つまり売りが多くないので、売りの値段がさがり、同時に買いの値段も下がるのかな、と解釈しています。
ポイント
株価に近い方が一番時間的価値が高い。
売るなら、株価に近い方が基本的には良い。
売り手の前に、買い手の心理をまず考える
次に、オプションの時間的価値が減少するので、売りが良いと説明しました。
実際は株価が上下するので、オプションの価格も上下します。それでも、時間的価値が減少するという向かい風は必ず吹いているので、確率的には、売りが有利です。
さて、あなたは売り手になりました。それでは、どう売っていくのか?
そのためには、商売と同じように、買い手の心理や好みをまず掴む必要があります。
実際、米国の若者が使用しているRobinhoodっというスマホアプリでは、オプションの買いの方が多く取引されています。Youtubeの説明も買いの説明が主体です。
こちらの方が簡単だからです。この方達は大事なお客さまです。
それでは、あなたも、まず買いを経験して考え方を身につけましょう。
まずはTWTRの株価のトレンド分析から。あなたは、今の買いチャンスをどう評価しますか? TWTR社のニュースなどはとりあえず無視して。
答え例: MACDの山からみると、買い時は一度逃したが、まだ下がってないので、買える気がする。
では、例として、どれを選びますか?
- Call 48か50か
- 期限は、12/11今週末か、月末の12/31か?
Call 48というのは48$で買う権利。50というのは50$で買う権利。
Callの表を見てみましょう。これは12/11一週間期限のものです。
48$の所で価格は、0.88$。オプションはすべて100倍するんでしたよね。つまり費用は、0.88x100=88$。大体8800円します。
50$の所では、0.34$なので、0.34x100=34$。大体3400円します。
なお、46$では、2.12と約2万円しますので、高いので除外してます。
米国の大学生などが、たぶん、「楽してお金を稼ぎたい」と思って、この程度のお金をかけて儲けたいと考えてます。
若い時は大体、「楽してお金を稼ぎたい」と思いますよね...
たとえば、株価が51$になれず、48のCallオプションを買ったら、
51-48 = 3$ 3-0.88=2.12$, 2.12x100=212$で8800円の投資で約21000円の儲けです!
実際、その権利を行使して株を買う場合は、48$の株を100株買うので、(なんでも100倍でしたよね)
48 x 100 = 4800$必要です。約48万円です。
この位の金額が取引のために必要な額となります。10$の株なら、約10万円ですみます。300$の株なら30000$で約300万円です。
100倍でさっと計算するのを覚えておいてください。
次の表は12/31月末期限の物です。
ここでは、48$ Callは、2.05$で、50$Callは1.22$です。
さきほどの一週間の物のより、値段が上がりました。これは時間がのびて変動の期待があり、時間的価値があるからでしたね。
では、どれを選びますか?
回答例: 12/11今週期限 48$ Call
理由: 月末にはMACDが反転して株価さがっているかもしれない。50$っていうのは少し遠いので、48$の方が利益でそう。
上記が私の生徒の回答でしたが、模範的な回答だと思います。買い手の心理が分かったと思います。
この買い手の人は、オプションが時間的価値が減少するというのは何となく理解してますが、自分に都合よく、「俺のオプションはあがれ」と念じてやみません。(私も過去にはそうでした(笑))
そして、時間的価値が減少するので買い手は不利、ということも教育は通常受けてきていません。
買う事が多くなると、当然その期待で価格は上がります。そこで、あなたは売り手になるのです。
買い手は売り手にとっては大事なお客様です。お客様が何を考えてCallやPutを買っているか、考えるようにしましょう。
PUT売り
Call売りから入るのは、証券会社によもよりますが、現物株をまず買う必要があり、そしてCall売りもする必要があるため取引が2回必要です。よってPut売りから入る方が一回の取引で入る方が簡単です。
売り手になる場合は、今度はPut Optionの価格表を見ます。
一番良い権利行使価格を選ぶ方法はまた別途解説しますが、なるべく高く利益取るためには、どの辺を選べば良かったでしょうか?
株価に近い所を選ぶと、時間的価値が一番高いため、価格が減りやすいんでしたよね...
ここでは、ぴったり計算しやすい47$ PUTを選択することとします。
ここで、これを買っている人は、Twitterが47$以下になるべく下がったら儲かる、と思う人が買っているのです。
あなたは売り手なので、この47$ Putを高く買い手に売れば、0.7$をすぐ手に入れられます。
つまり、
0.7x 100 = 70$ 約7千円手に入ります。
株価が、12/11の満期に47$以下にならなければ、この7千円は手にしたままで、また次の週同じことをして、稼ぎつづけます。
それではもし、46$になったらどうなるか。Putの買い手が47$で株を100株売ってきます。オプションの取引単位1単位(lotともいいます)で、100株に相当します。
つまりあなたは、47x100=4700$の値段で、Twitter株を買う必要があります。
これを現物株がアサインされた、といいます。
その時の価格は46$なので、1$x100=100$損しています。
ただし、考え方として、もしもTwitter株が上がると思っているのなら, 47.73$の時に株を買うのでなく、47-0.7=46.3$で安く買えたことになります。
その後株価が、46.3$以上になれば、利益になります。これは現物株を47.73$で買うより得です。
よって、株を買うとしてもオプションを使った方が割安で買えます。
46$以下になるのが3週後なら、簡単な例では、
0.7 x 3 = 2.1$分だけ得して買えることになります。210$で約2万円得です。
保有する株とは別に、この0.7$や2.1$(プレミア Premiumと呼びます)は口座に入金されてきます。よって、売買を繰り返すことにより利益が積みあがってきます。
一般的には、このPut売りを繰り返すのは、株価が連続して下がらない限り利益になります。よって、株価が長期的にずっと下がらない株を選ぶのが重要です。
2020/12月時点では、金融緩和と金利低下で、株は相対的に数年上がりやすいので取り組む良い機会となっています。
取引実例
リアリティを持つために、実例を示します。
最近、ROKUのPUT Optionを3 lot売りました。そして株価が上がった為、Put Optionの値段も急激に、時間的価値+株価上昇により下落したので買い戻しました。
その時の利益ですが、
11/30 ROKU PUT 280 売り 7.75$プレミアx3lot
12/4 ROKU PUT 280 買戻し 0.19$プレミアx3lot
買戻しはしなくても良いのですが、急激に価格が下がったので、買戻してまた売りを仕掛ける方が得になると判断した上級編のOperationです。
利益は、
(7.75-0.19) * 100 * 3lot = 2268$です。約23万円です。
一週間一銘柄でほぼ一か月の生活費です。
ただ、必要資金は、280*100*3=84000$なので、約870万円必要です。
ROKUの株価が高い為で、もっと安い株なら、資金は少なくてもすみます。
なお、Firstradeを利用しているので、取引手数料はゼロです。
まとめ
オプションの基礎的な事項と実例を説明しました。
Put Option売りから入りましたが、その後、現物株がアサインされて、ポジションが100$のTwitter株になったら、次にはカバードコールというCall Option売りに移行します。次回説明します。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。投資判断は自己責任でお願いいたします。
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