電気自動車(EV)の開発が世界で行われており、今後ガソリン車がEVに置き換わると言われています。
その中で中核部品にはバッテリとモータがあります。
バッテリのトレンドと、上場している企業の銘柄と、主要メーカ、種類と仕組み、基本的に期待される性能を調査して、初歩的な内容としてまとめてみました。
バッテリのトレンドと仕組み
し烈な研究開発が行われおり、リチウムイオン電池だけでなく、いろいろな種類があり少し複雑です。
バッテリの種類(仕組み)は以下の物があります。
- リチウムイオン電池(LIB)・・・現在、スマホ、カメラ、ラップトップPCやEVなどに広く使われている主流の物です。電池の内部でリチウムイオンがプラス極とマイナス極を行ったり来たりしています。
- スーパーキャパシタ・・・静電気を使ってエネルギーを蓄積。リチウムイオン電池の欠点(充電に数時間かかる、限られた回数の充電、リサイクルの費用や発火の可能性)のない、高速かつ安全な物。但し、蓄積電力が早く消失する電池。
- 全固体電池・・・リチウムイオン電池を超える次世代電池。10年以内にEVへの搭載予定。電池の中は液体でなく固体を使用。
- リチウム-硫黄電池(Li-S)・・・リチウムイオン電池より比エネルギーが優れた電池。コストと重量が嵩んでいる。
- マグネシウム電池・・・資源が豊富で低コストで安定供給が可能。正極に酸素、負極にマグネシウムを利用。電池容量や航続距離の問題あり。
- リチウム酸素電池・・・リチウムイオン電池の10倍以上のエネルギー密度。酸素が超酸化物になるのが実用化の課題。
このうち、メジャーな、リチウムイオン電池のリチウムについて以下補足します。
リチウム Li は、原子番号3の小さいものであり、1つの電子が取り除かれたものがリチウムイオン Li+です。Liは、すべての金属の中で一番軽く、水に浮きます。
K 殻に電子が2個、L 殻に電子が1個存在します。 原子核に陽子が3個存在し、そのまわりを3個の電子が回ってます。
以下は重要な指標の重量あたりのWh数のエネルギー密度と各バッテリの関係を示した図です。
出展:思考のカケラ
以下は、エネルギー密度Wh/Lを使用したものです。こちらで性能を表すこともあるので、追加します。
出展: 日経XTECK
このうち、リチウムイオン電池について、2019年版のロードマップは、以下のようになっています。
出展: KRI 次世代電池ロードマップ
上場している企業の銘柄と上場主要メーカ
リチウムイオン電池を最初に開発したメーカは、ソニー・エナジー・テック社です。当初は、日本のメーカのシェアが多かったです。
リチウムイオン電池以外の動きとしては、以下です。
・Maxwell Technologies社は、ウルトラキャパシタメーカ、2019年2月にTSLAが買収。
・ランボルギーニ社 スーパーキャパシタをMITと研究。
日本上場の銘柄
自動車会社では、日産自動車、トヨタ自動車、三菱自動車が取り組んでいます。トヨタ自動車は、全固体電池の特許数世界一です。(2020年11/12時点)
村田製作所 全固体電池を2020年度(~2021年3/E迄)中に量産予定。但し、小型用でEV用ではない。
日本金属、日本バルカー工業、三桜工業等 マグネシウム電池関連銘柄
パナソニック テスラモーターズに電池を供給しています。
その他、新電元工業、ジーエス・ユアサ、ニチコン等です。
米国上場の銘柄
EVを含む主なバッテリメーカをまとめます。
一番有名なのは、TSLA テスラモーターズです。
今まで紹介した内容以外に、燃料電池(Feul Cell)という、スペースシャトル/宇宙ステーションにも採用された、水素と酸素から電気を作る仕組みの電池があります。水素の供給、水素ステーションの建設などがネックになっています。
- TSLA・・・EVの主要メーカ。Space-Xの会社の経営者が兼務しており、総合的な技術力は特筆的と考える。電池内製化の方針を出してメーカ各社に衝撃を与えた。
- ENR・・・住宅用のバッテリメーカを各種作るメーカ
- ENPH・・・太陽電池向けのデバイス、マイクロインバータのメーカ
- JCI・・・最大の自動車用バッテリメーカ
- ALB・・・世界最大のリチウム生産者。
- SQM・・・チリのリチウムや原料のサプライヤー
- QS・・・2020/11月にIPOしたリチウム
- LI・・・中国のNASDAQ上場SUVメーカ
- XPEV・・・中国のNYSE上場電気自動車メーカ
- PLUG・・・イオン交換膜を利用した燃料電池のメーカ
- BLDP・・・カナダのイオン交換膜を利用した燃料電池モジュールのメーカ
- NKLA…EVや水素燃料電池を利用したトラックのメーカ
中国・韓国上場の銘柄
LG化学(韓国)・・・EV用電池の世界市場シェア1位(2020/1~8月)
CATL(中国)・・・テスラに電池を供給
BYD(中国)・・・中国最大の新エネルギーメーカ。バフェットが出資。
評価すべき基本的性能(容量、重さ、大きさ等)
テスラの2020/9/22のBattery Day説明会での発表では、
- 単位容量あたりドル/kWHを56%下げる。
- 開催前の期待は、エネルギー密度が500Wh/kgを超える画期的な技術の紹介。それの発表はなし。
- 正極にコバルトを含まない。コバルトは埋蔵量や児童労働の問題あり。よってコバルトフリーの技術開発に各社取組み中。
ここで、EV用に期待される性能や評価項目で主なものをまとめてみます。会社の開発状況を知る上で参考にするためです。
この中で容量を重量で割った性能、重量エネルギー密度が特に重要です。
- 重量エネルギー密度(Wh/kg)
- コスト/kWH
- 方式と技術的実現性
- 欠点(安全性含む)
- 生産能力と量産スケジュール
参考: 少し古いですが、以下が開発目標としてのってました。
出展:NEDO 2015
上記の内容を定量的にとらえるのが重要と考えます。
なお、全固体電池に対する批判的な記事も以下に参照しておきます。
電気自動車の進化に必須といわれる「全固体電池」は実用化できない?
まとめ
電気自動車EVが主流になっていく中でのバッテリメーカについて評価するために、基本的な事項や評価項目などをまとめました。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。投資は自己判断のもと、自己責任でお願いいたします。
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